日記

夜の街を歩いている。
夜の街は色んな人がいる。
楽しそうに歩く人、悲しそうに歩く人、一人でギラギラと歩く人、赤髪、金髪、刺青、わーわー歩くのは、きっと大学生かな?酔っ払いのお手本みたいなおじさん達。外国人がとても多い。日本人よりも明るい気がする。隣の人も、中国人かな?彼らの子供もいる。夜なのに。
新宿の街を歩いていたら とてもすてきな演奏をしている。大勢のひとがかこんでいる。サックスが鳴っている。あれはベースだろう。夜が終わらないならずっと観ている。
飲み屋の客引きさんが、サックスの後ろで看板を掲げている。飲み放題は1200円らしい。飽きたり、リズムに乗ったりを繰り返す看板。
人は減らない。
刺青の人が熱心にメモを取っている。
皆が楽しそうに笑っている。刺青の人が描いていたのは似顔絵だったらしい。自分も、とてもなんとなくそこに立っている。皆が笑っている。
警察の人がこなかったら、いつまでも鳴っていたかもしれない。笑っていた人たちはおやまぁみたいな顔なんかして、ゆっくりと歩き始めたりしている。
夜の街を歩いている。
夜の街は知らない人がたくさん歩いている。
ちょっと振り返ったりしてみても、なんにも関係なく歩いている。
ぎゃーぎゃー言ってる元気な大学生も、つまらなそうな会話を無理に投げ合っているサラリーマンも、ちょっとお関わりあいになったらお金でも取られそうなお兄さんも、自分はそんなに嫌いじゃない。
特に楽しいことがなくても、それなりにニコニコ歩いていけるくらいには好きだ。

今あったことが前もあったように感じることがあるのは、子供の頃はとても不思議だった。
あ、この人転ぶ、と思ったら転んだりする。今初めて見たものを、とても懐かしく感じる。とてつもなくせつなくなる。でも多分、それはデジャヴとは関係ない。
夢の中でしか会わない人がいる。私は他の人の夢を見れないからそれが普通かどうかはわからない。夢の中でしか会わない人に、2回あったことがある。同じ夢を2回みたわけではなくて、すごい昔に見た夢で会った子に再会した。とてもびっくりした。それもデジャヴなのかな。
はっきりとは思い出せないんだけど、その子と私はとても仲が良くて、ずーっとずーっと前から、例えば幼稚園なんかから、知っていたよう風でとても楽しそうな顔をして歩いていた。
でも、途中で夢の中だってわかって、自分は馬鹿みたいに泣いた。夢の中で泣くのなんて、訳が分からないか、怖いかのどっちかだろうと思っていたのに、私はとても悲しくて泣いた。泣きじゃくりながら何度もさようならを言った。その子は泣かないで、笑っていたような気がするけど覚えていない。起きたら私は本当に泣いていた。

知り合ったばかりの人を、ずーっと前から知っていたような気になる時がある。ずっと大切な人だったような気になる時がある。それは勿論、夢で会った訳じゃないけど。
少しだけ、ない頭で考えていたけど、それは意味不明な懐かしさじゃないと思う。言葉とか考え方とか表情とか手の使い方とか鼻歌とか、それが私にとってとてつもなく素敵に思えて、勝手にずーっと一緒に居たような気になってるんだと思う。勿論、幼稚園を振り返っても小学校を振り返ってもその人はいない。でも、ずっと前から知っているような気がしたりする。
勿論、その人が何を話すのかなんて、私は分からない。何を考えているんだろう、何が好きなんだろうって勝手に思ってみることはあっても、わからない。だけど、話したり聞いたりした瞬間、ずっと前から知っていたような気になることがある。わかるわかるよ、かとって素敵だねくらいしか思いつかなくて何も言えなくなる。勝手に私だけとっても仲が良く思っていてなんだかもどかしかったりするときもある。

昔からの友人と話していても、急にぼーっとして、話なんか聞かずに、これが夢で、もうじきに覚めてしまうんじゃないかなって思うときがある。夢が覚めたら、自分は全然違う場所で、全然違う時間を生きていて、その友人はいなくて、母親も全然違う人だったりするのかもしれない。今夢で覚めてしまいそうになったら、きっと涙を流しながらお別れを言うだろう。何が夢なのかわからなくてなってきた。

夜の街を歩いている。多分私は人より幸せだと思う。比べるものなんかじゃないけれど、幸せだと思う。この夜の街の知らない人たちがそれなりに好きだったりする。多分それはなんとなく幸せなことなんだろう。

映画を観て、夜ご飯を食べる。飲み屋に行く。カラオケに行く。素敵な人がいる。きっと本当の本当に素敵な人って言うのは、きっとその人にとってだけの素敵な人なんだろう。ずーっと前から知っていたような。何もかも一緒に喜びたいような。なんにも話さないで、それでもぼーっと座っていたいような。なんにも知らないのに、うんそうだよねって思えるような。会ったばかりなのに、涙を流して泣いてしまうような。その素敵っていうのはものすごく勝手で一方的なのに、それでもそれを大事にしたくなるような。きっと別になにも言えずにさようならしてしまうけど、知らないどこかでずっと一緒にいるような気になるような。
多分もし夢で勝手に大泣きしてしまっても、それは幸せなことなんだろう。そろそろ、家に着く。