日記

私は顔が覚えられない。
一応、見たらこの人だ、ってわかるからきっとどこかでは覚えているのだと思う。正確にいうと顔を思い浮かべることが出来ない。元々頭の中で映像を思い浮かべるのも得意じゃないのだけれど。全部の人が思い浮かばないんじゃなくて、思い浮かべられない人がいる。それは何故だかわからない。忘れているわけではない。映像でもない、文字でもない、きっと言語化出来ない何かの部分でしっかり覚えてはいるのだ。でも、顔は思い浮かばない。
流石に何十回もあっている旧い友達とか、家族とかの顔は忘れない。だけど、沢山あっているから覚えている、少ししか会っていないから覚えられない、そんな単純な話じゃないみたいだ。どうでもいい人が覚えられない、好きじゃないから覚えられない、そういうことでもないみたいだ。何度もあった好きな人間の顔を思い出せない。そんなことがある。むしろ、大好きだな、すてきだな、って人の顔ほど思い浮かべられない気がする。ドキドキして脳みそのほうが覚えてる場合じゃないのかもしれない。誰にも伝わらないと思うけど、パワポケ木村庄之助みたいだ。たまに、とてつもなくせつなくなる。だからこそ、会っている一瞬を愛おしく感じたりもするのだろうけど。

だからこそ、走馬灯の一気に思い出すことがある。
先日、1枚の写真を見た。それは私の友人による、私の友人の写真だった。その写真には友人の横顔が凛として写っていた。
その瞬間、写真に呼び出されるように、一気に色んな感情が溢れ出した。そうだ、こんな顔だった、っていうのは勿論そうだけれど、あ、初めて会ったときはこんな顔をしていたな、とか、その時私はこんな風に思ったんだった、とか、笑うとこの顔がこういう風に変わるんだったとか、それがすごく素敵だなって思ったこととか、映画館でみたのは同じような横顔だったな、とか、そういえば鼻唄を歌っていたな、とか顔のことじゃないことまで。色んな記憶と感情の記憶とかその時の空気とか忘れていた色んなものが一気に入り込んできて、私は思わず泣きそうになってしまった。
君の名は。」を観たけどまさにこんな風なのかと思った。なんで忘れてしまうんだろう。またその写真をみないと正確には思い出せないような気がする。「君の名は。」で「すき」と書いた理由がイマイチ腑に落ちなかったけど、こんなにその人のことを思い出して愛おしく思うならそうなんだろうな、って思った。そしてやっぱり素敵すぎるから、忘れているんだろうな、って思った。